買物弱者、医療弱者、災害対応といった地域課題に密接に関わる物流の維持。そして物流業界自体が抱える課題の解決や付加価値の創出にはドローンをはじめとしたテクノロジーの活用が今後不可欠です。
今後の社会実装に向けてより多くの自治体様と企業の皆様にもご参画いただき、地域社会から日本を元気にする嚆矢となることを願っております。

ドローン配送約款に関する指針について

ドローン配送における「約款に関する指針ver.1.0」を策定しました。今後随時内容を更新し発表してまいります。

企画プログラム実施のご案内

〜プログラム概要~

2024年10月1日(火)・2日(水)に、札幌コンベンションセンターにて開催された「第3回ドローンサミット」にブース出展すると共に、展示会内の企画として10月2日(水)に「ドローン物流を組み込んだ新たな社会インフラの現在地と今後の展開」と題した特別プログラムを開催いたしました。
「物流2024年問題」に社会的な注目が集まる今、特別プログラム内でも、あらためて地域物流における集約化・自動化の重要性や情報連携、平常時の「新スマート物流」の導⼊により、災害時には「緊急物流プラットフォーム」へと移⾏可能なフェーズフリー型の地域物流インフラとしての新スマート物流の可能性等が議論され、「新スマート物流」の重要性と社会的意義が再認識されました。その他にも、物流業界やドローン業界における最新トピックスや課題や今後の展開に関し、熱いディスカッションが展開されました。

プログラム
  • 代表者挨拶:
    全国新スマート物流推進協議会 会長/上士幌町長 竹中貢氏
     
  • オープニング講演:
    「物流2024年問題に挑む~持続可能な地域物流の実現に向けて」
    国土交通省物流・自動車局長 鶴田浩久氏
     
  • パネルディスカッション1:
    「都道府県が手掛ける『フェーズフリー』な広域物流インフラとドローン配送にかける想い」
    パネリスト  大分県商工観光労働部新産業振興室 新産業・技術振興班 主査 山﨑亮太氏
           山梨県 知事政策局 リニア・次世代交通推進グループ 次世代交通推進 主任 宮川新一氏
    モデレーター 株式会社NEXT DELIVERY 企画部 部長代理 近藤建斗氏 
     
  • パネルディスカッション2:「地域物流における集約化・自動化の重要性について」
    パネリスト  国土交通省 物流・自動車局長 鶴田浩久氏
          日本郵便株式会社 執行役員 五味儀裕氏
          佐川急便株式会社 事業開発部 事業開発担当部長 佐藤諒平氏
    モデレーター  セイノーホールディングス株式会社 執行役員 河合秀治氏 (本協議会 理事)
     
  • 閉会の挨拶:
    全国新スマート物流推進協議会 常任理事/小菅村長 舩木直美氏
     

新スマート物流とは?

買物弱者、医療弱者、災害対応といった地域社会の抱えるさまざまな課題に物流は大きく関係しています。また、人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応など、物流業界自体が抱える課題も多く存在しています。そのような課題の解決にデジタルとテクノロジーを活用することが、地域物流の持続性を保ち、豊かで活き活きと暮らせる地域を守るためには不可欠です。

具体的には、地域の中での荷物の動きの最適化、地域に出入りする荷物の動きの集約と効率化、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術等の複層的な活用により地域社会のモノの流れを最適化させ、省人化対応、脱炭素化を実現していくこと。それが「新スマート物流」の概念です。

全国新スマート物流推進協議会とは?

新スマート物流を通じて豊かな地域社会を実現していくには先行する地域の取組み事例や実装プロセス等の貴重な経験値を関係者で共有していくことは極めて有効です。政府が推進するデジタル田園都市国家構想の「地方の魅力をそのままに、都市に負けない利便性と可能性を」を実現するべく、多様なプレイヤーが知恵を出し合いながら新しい社会基盤をともに築いていく。自治体を中心に、官民・業界内外の垣根を超えたオープンな議論と情報共有を行い、新スマート物流のより早い社会実装を推進していく組織です。

発起人代表メッセージ上士幌町長 竹中 貢

上士幌町長 竹中貢

この度は、全国新スマート物流推進協議会にご関心を賜り、誠にありがとうございます。

我が国は2008年を頂点に人口減少に転じ、中でも農山漁村、離島では、少子高齢化が顕著で、人口減少が加速し、自治体消滅の危機に直面しております。そのため、都市と地方、北から南まで均衡のとれた発展と持続可能なまちづくりを目指す新たな地方創生は、喫緊の課題となっております。

私が町長を務めております上士幌町は、東京から1000㎞以上離れた所に位置しております。この距離を縮めることはできませんが、ICTが時間軸を縮め、人口規模にかかわらず、都市と同様のサービスを可能とするのがテクノロジーの力と考えております。

全国的に地方の鉄路が廃止されている中で、高齢者等の交通弱者は、買い物や通院などに不便な生活が強いられています。こうした現状に本町では、いつでも必要に応じて移動できるMaaSの取り組みや、買い物弱者のためのドローンを活用した配送などで、誰一人取り残さない地域づくりに取り組んでおります。また、物流のラストワンマイルに、ドローン等最新のテクノロジーが活躍することは、脱炭素、省エネの観点からも極めて価値のあることと認識しております。

国としても岸田内閣が地方創生の主要施策として「デジタル田園都市国家構想」を掲げられました。社会や経済におけるデジタル化が大きな潮流となる中、地方が抱える共通した課題に対応すべく、思いを同じくする自治体が発起人となって「全国新スマート物流推進協議会」を発足することとなりました。今後は全国の自治体や企業の多くの皆様の賛同を得て、その輪を広げ、「全国どこにいても快適、どこでも安心して暮らせる日本」を官民が一体となって実現していきましょう。

これまでの取り組み実績

小菅村が抱える課題

小菅村は人口約700名(約330世帯)、高齢者率45.9%(2020年10月時点)であり、市街地から離れた山奥に位置する過疎地域です。村内にはコンビニも無く小型商店が1店舗あるのみで、スーパーに買い物に行くには、車で片道約40分かけて隣町まで行かなければならないため、買い物弱者問題が深刻化しています。また村内には古くからの診療所が1つあるだけで、総合病院や検査のためには隣町まで通う必要があります。

新スマート物流の導入
(実施主体:セイノーHD㈱、㈱エアロネクスト、㈱NEXT DELIVERY

  • 村内に空き家を活用した物流倉庫兼拠点(ドローンデポ®︎ )を設置し、2021年4月からドローン配送と小菅村の隣の都留市にある地元スーパーの食料品・日用品の買物代行を試験的に開始し、日常的なコミュニケーションを通して村民の理解を深めながら、頂いた声を反映し、本格サービスに向けて改善と磨きこみを実施していきました。
  • 2021年11月からは「ドローン配送を含むオンデマンド配送サービス」と、「地域のスーパーと連携した買物代行サービス」の2つのサービスを有償化、定期化し、本格的な社会実装を開始しました。
  • 2022年5月末時点でドローン配送実績256回 お買物代行サービス実績571回。
ドローンデポ®とは

既存物流とドローン物流との接続点に設置されるドローン配送のための倉庫で、荷物をドローン配送できる仕組みを持つ倉庫。新スマート物流における拠点となる。
→小菅村では以前商店だった空き家を活用しています。

ドローンスタンド®

ドローン物流の起点および終点に設置されるドローンの離発着のための設備。
→小菅村では6ヶ所設置しています。(2022年2月末現在)

実施中のサービス

オンデマンド配送サービス

アプリから、食料品や日用品が最短30分前まで注文ができるオンデマンド配送サービス。日・祝日以外10時〜17時で営業中。配送料金1回300円。小菅村ではお客様は300アイテムある食料品、日用品から商品を選び、30分間隔に設定された16スロットの配送枠から配送希望時間枠と配送先のドローンスタンド®︎を選択して注文。お客様が指定したドローンスタンドへ、最短30分でお届けします。配送料は1回300円。基本はドローン便でお届けだが、天候等の事情でドローン便が難しい場合はおクルマ便による陸上配送でお届けします。

地域の商店と連携した買物代行サービス

専用アプリで買物した地域の商店やスーパーなどの商品や飲食店の出前が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービス。地域の商店のDX化支援の取り組みでもあり、モールEC型で展開するネットスーパー&フードデリバリーサービスです。小菅村では、近隣地域にある地元スーパーの約1,000アイテムの食料品、日用品から商品を選び、2時間間隔に設定された時間枠から希望時間枠を選択して注文。配送料は300円。正午までの注文を当日中にお届けします。

その他のサービス

小菅村においては、新スマート物流の社会実装の一環として、バス会社、物流会社各社の協力も得て、貨客混載や共同配送の試験的に開始するなど、様々な取組みを実施しています。

アーカイブ配信

下記、リンクより、第1回新スマート物流シンポジウムのアーカイブ映像をご覧いただけます。